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文句なく快晴の正午.講義合間の昼休み.
いつものように時計台前の広場で猫を眺めながら昼食をすませた後,陽気に誘われて構内の池の側を探検してみました.某文学作品の名を冠したこの池は,周りを木々で囲まれて周囲からはちょっとした死角になっています.実際こちらに通うようになって3ヶ月経ちますが,水面が見えるところまで近づいたのは今日が初めてでした.池の畔まで来ると,逆に構内の風景から隔絶されて,ただ空と水と木々だけのある空間が広がっています.角度によっては高層ビルに空の一角が切り取られてしまっていますが,ここ80年ばかりの間に失われた青空の立体角については私には大小の判断のつかないところでした.
尊敬する物理学者にして文学者である寺田寅彦氏の随筆に,1920年代のこの池の姿を見ることが出来ます.
http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2453_11109.html
氏の随筆らしく問題提起に富んだ文章ですが,読めば読むほど自分の教養の無さに恥ずかしくなる思いです.あれほどの池をして「いい天気だなぁ.ああ猫がいるなぁ」という感想しか書けないようでは物理を志す者として失格もいいところです.今後は心を引き締めて,訪れるたびに何かの着想を得たいものです.差し当たってあの猫とお近づきになる方法から探すことにしましょう.