Firefox と Windows のぐだぐだデスクトップ環境の後継者

outsider reflex より.
あー面白い.Mozilla Party JP 7.0,行けるものなら行ってみれば良かった……ってあの頃は日本居なかったんですが.



後でこういうフォローが付いているので,そちらを先に紹介しておきます.

Firefoxは全然安全じゃないぞということを僕がやけに強調するのは何故かということの理由の一つには、Firefoxは安全だ・IEは危険だ、という、あまりに単純化しすぎてFUDじみてしまったシンプルな言い方をしてしまう人に対して腹が立つからというのがあるような気がします。あんた全然分かってねえよと。何が「Wheeeeeee!!!」だよと。シャラップとか言ってるおめえも他人のこと言えねえだろがよと。

Firefoxの本質は拡張機能だ!とかいう寝言を書いてしまいましたが、よくよく考えると、拡張機能を最大の特徴と考えてるのは僕みたいに何でもカスタマイズしないと気が済まない変態だけなのかもしれないですね。あまりにそれを当たり前のこととして享受しすぎていてもはや僕は意識することすらなくなってしまっているけれども、普通に考えて、タブブラウジングやポップアップブロックといった基本機能は素のIE6に比較して十分アドバンテージになっているし、危険な(野良)拡張機能に関しても、標準状態ではインストールできない(するのが大変な)ように設定されている。

やっぱり、なんていうか、その、「一般的ユーザの視点」というものを忘れてしまっているんでしょうな、僕は。いつの間にか自己中心的な性質がこんなところにまで発現してしまっている。いかんなあ。

私も,なんていうか最近「一般的ユーザの視点」をすっかり忘れているという自覚はあって,「ActiveX って危険だよねー」とか「Internet Explorer ってメモリ消費量少ないけど,あれって OS の一部だからずるいんだよねー」とかそういうノリの会話をしていると脳の変なところが疲れてきます.まあそう言う会話だったら相槌うってれば別に困ることはないんでしょうけど,こういう話を見ていると,ああ,「汝は人狼なりや」何て思ったり思わなかったり.
Firefox を常用しているわけでもない私が id:NyaRuRu:20051022 みたいな話をつい書いてしまったのも,「OS の一部だからメモリ消費量が少ない」なんて,本当に理解して言っているの? という意図がかなり強くあったりします.タスクマネージャの数字を理解するのに本数冊分の知識が必要というのも根本的な問題ではありますが,かといって過度に単純化された FUD の連鎖も見ていていい加減うんざりしていましたし.



さてさて,というわけで時系列逆順ですが,本命.

キーワードは「拡張」.
Firefox が手に入れたと思っている「拡張」性は,根っこのところで従来の Windows のデスクトップ環境のそれによく似ているんじゃないか,と思えてきました.
現在の Windows のデスクトップ環境のサザンクロスシティっぷりは,それこそプレゼンテーション資料にある次の一文と全く同じ状況です.

「有名どころは一様に口をつぐんでる」
「気まずいんだろう」

Windows のデスクトップ「拡張」系のツールでは,割り込まれることを全く意図していないプロセスに侵入し,処理を置き換えたり設定を書き換えたりするという手法が半ば公然と行われています.大企業様からサンデープログラマー,スパイウェアやウィルスまでみんなこの手法にどっぷり浸かりきっていてるという事実は,しかし「有名どころは一様に口をつぐんでる」と言われても仕方がないものです.
また利用者の方も,ダウンロードしてきた Exe ファイルは脊髄反射でダブルクリックという生活に首まで浸かっています.大多数の Windows 使用者が,ActiveX という単語には激しく反応する割に,「こんな便利ツールありました」と紹介された Exe ファイルは署名を確認することもなくほいほい実行してくれるという矛盾は,変な話ですがデメリットだけではありません.証明書を買えないプログラマーが公開している野良実行ファイルを完全に排除してしまうと,Windows デスクトップ環境を支えるソフトウェアの生態系は随分と様変わりすることが予想されます.
何というか,従来の「デスクトップカスタマイズ系」の楽しさが,Firefox には満載なんだと思います.実際,よくよく見てみると「オレ様の使っている拡張」自慢は「オレ様の比類なく拡張されたデスクトップ」自慢と同種の臭いを感じます.ああいうのは,人・構成技術・タイミングが揃えばちゃんと流行るんだなぁと.



一方で,現在の混沌とした Windows のデスクトップ環境というのも,時代背景とか手抜きとか色々な要素が絡み合って醸成された一種のお祭り騒ぎみたいなもので,これはこれで移ろっていく夢幻なのかもしれません.今後もこの馬鹿騒ぎが続けられるかというと,結構きわどいところまで来ているような気がします.
例えば .NET アプリケーションが流行れば良いと言っている人のどれぐらいが,メッセージフックという手段が有効性を失った世界をきちんと想像しきれているでしょうか.やっぱり後になって,他の .NET プロセスに潜り込んで WPF のコントロール要素を改変したりフックしたいと言い出す人がかなりの数出てくるんじゃないかと予想しています.
また Windows のカーネルもそれなりに楽しい遊び場でしたが,やはりお祭りは終焉の雰囲気があります.Windows Vista では署名されていない 64-bit デバイスドライバはロード出来ない方向に動いていくようで,これは個人で FileMon や RegMon といったツールを維持していくのが難しくなるということを意味します.
Windows Vista を実行している x64 ベースのシステム上のカーネル モジュールのデジタル署名
とまあそんなことをつらつらと考えてみた徹夜明け.